今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。
新潮 2026年1月号
・【往復書簡】として、筒井康隆×蓮實重彦「笑犬楼vs.偽伯爵2024-25」。「貴兄がコロナに罹られたことを知りました」と書き起こされる東京-神戸間の文通は、一年で十往復に及んだ。互いの仕事への深い敬意と飽くなき好奇心。老境を迎えてから交流が生まれた二人の大家による、友愛の記録。
・上田岳弘による新連載「痴れ者」(第1回)がスタート。
・金原ひとみ×又吉直樹による対談「文芸誌という劇場」。新人賞選考で培った批評的な読みと、自らの創作論。文芸業界に対する内側からと外側からの視線が交差する。
文學界 2026年1月号
・【特集 浮遊する言葉】として、マーサ・ナカムラが講師を務め、朝吹真理子・鈴木涼美・高瀬隼子が参加したワークショップ「“本当の私”は詩の中に」、久谷雉、國松絵梨、鎌田尚美、石松佳、金井万理恵、井戸川射子、水沢なお、小島日和、水城鉄茶、高田怜央による「10人の詩人による詩とエッセイ」朝吹亮二による新作長篇詩『何処へ』、インタビュー「朝吹亮二の現在地――『何処へ』を中心に」、笹久保伸のエッセイ「詩人の魔術的な歩行」、柴田聡子×青野暦による対談「ことばと出会いなおす」。
さらに、小池昌代、小笠原鳥類による鑑賞、小澤裕之の評論「抹消された不和」、南田偵一のエッセイ「稀少生物“双眼”の詩人現る」、都築響一×大山顕の対談「令和の夜露死苦現代詩」、野崎有以による創作を一挙。
・【創作】では、久栖博季「貝殻航路」、奥野紗世子「この人の知らない戦争」が掲載。さらに、「2025年下半期同人雑誌優秀作」に選ばれた阿部あみ「処暑」。
・上田岳弘による新連載「美しい人」がスタート。
・江崎文武による連載「音の扉を開けて」が最終回を迎える。
群像 2026年1月号
・【新年短篇特集】として、井戸川射子「時のみ正しく滴る」、尾崎世界観「外野自由」、黒井千次「白く長い坂」、佐伯一麦「だれかさん」、豊永浩平「G(h)etto」、中村文則「本当なら」を一挙掲載。
・「第78回野間文芸賞」受賞作は、村田沙耶香『世界99』(上・下)。村田による受賞のことばと、選考委員の奥泉光、佐伯一麦、多和田葉子、町田康、三浦雅士による選評も。「第47回野間文芸新人賞」受賞作は鳥山まこと『時の家』と、ピンク地底人3号『カンザキさん』。それぞれの受賞のことばと選考委員の小川洋子、川上弘美、川上未映子、高橋源一郎、長嶋有による選評も。
・【論点】では、今年7月に『過疎ビジネス』(集英社新書)を上梓した横山勲による「地方を食い物にする「過疎ビジネス」」。
・阿部公彦「父たちのこと」、平田オリザ「ことばと演劇」がそれぞれ最終回を迎える。
・藤野可織による創作「アーカイブ」、高木徹のノンフィクション「ウクライナPR情報戦 「演者」の成功と落日」、島口大樹×崔実によるエッセイ「シネマ日和」、若林踏「文芸誌でミステリの話をしよう」、宮田文久のルポ「「読む」をデザインするひと」の新連載がそれぞれスタート。
すばる 2026年1月号
・若松英輔による新連載「永遠への萌芽──大正的土壌とその霊性」、梅佳代の新連載「うめのたね」がそれぞれスタート。
・【特集:共に生きる】として、温又柔×藤見よいこによる対談「誰も書いてくれなかった「私」自身の物語が読みたくて、「私」たちは書き続ける」、安堂ホセ×奥秋直人「先生に会いに、学校へ行く」、安達茉莉子によるルポ「知ろうとしないと歩み寄れない世界で、話をしよう」、「希望のまちプロジェクト」レポートの永井玲衣×奥田知志「人と人との「間」から」が掲載。
さらに、小説では星野智幸「Democracy, Re-imagined」、桜庭一樹「もう一つの世界」、中村文則「懐かしい時間」、谷崎由依「イオとイオナと氷の壁」、山崎ナオコーラ「氷河の国にようこそ」、古谷田奈月「J、あるいは聞こえない音」、大田ステファニー歓人「サンビイムス」がそれぞれ掲載。エッセイでは、平野啓一郎「オードリー・タン氏との対話」、荒井裕樹「イベント化する共生」、松宮朝「多文化共生を語ることの、いくつもの失敗から」、浜辺ふう「「おはようございますアンニョンハシムニカ」」、田口ローレンス吉孝「大和人ファースト──沖縄から見た「日本人ファースト」」を一挙。
・鏡リュウジ×東畑開人「占いと心理学の対話 昼間のスターゲイザー」、赤坂憲雄「宮崎駿の詩学──アニメ的想像力を物質化するために」がそれぞれ最終回を迎える。
以上、今月の文芸誌読みどころを紹介した。読書の一助になれば幸いである。

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