大江・留・丈二『世界海賊版マンガ大全』がこの度パブリブより発売されることがわかった。
2025年7月に髙井ホアン著『反日アニメUSA』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、今回、世界の様々な「海賊版」漫画が大集合した一冊『世界海賊版マンガ大全』が出版される。副題は『パクリ&無版権コミック・アーカイブ』。著者はコンテンツ研究者の大江・留・丈二で、『韓国いんちきマンガ読本』や『北朝鮮アニメ大全』を同社より以前に出版している。
日本の漫画やアニメは世界でも人気となり、様々な形で受容されているが、それらの全てが、正規の契約や認証された事業によって行われているわけではない。欧米各国における日本製コンテンツの受容については様々な研究がされているが、それ以外の、特に90年代以前のアジアや中東や中南米といった国々での受容史はまだまだ広く知られているわけではない。そしてそこを探る上で当然「海賊版」も避けることはできない分野である。下手くそであるいは奇妙な、そんな海賊版漫画たちにも、様々な背景がある。『世界海賊版マンガ大全』では、そうした公の記録に残るわけでもない数々の海賊版漫画を445作品も集め、幅広く紹介していく。
海賊版『ドラえもん』と中華圏の海賊版マンガ通史
『漫画周刊』と香港のおたく文化
『漫画大王週刊』と台湾の漫画審査制度
『聖闘士星矢』と中国初の海賊版マンガ雑誌『画書大王』
『テコンV』を主役にした「日韓スーパーロボット大戦」
タイ式『ドラえもん』とタイの海賊版マンガ史
イタリアにおける日本アニメの黄金期と海賊版コミカライズ誌
『ミッキーの活躍』『ミッキーの兵隊』『ミッキーの大奮戦』等の日本製海賊版
その他、台湾製実写版『北斗之拳』や、香港製実写版『閃傳五騎士』を紹介するコラムなど、海賊版と日本製コンテンツの受容についてより深く知ることが出来るコラムも多く掲載されている。また、『世界海賊版マンガ大全』では資料をより鮮明に見やすく掲載するため、A4版オールカラーでの製本を行っている。単に俗悪扱いされあるいは闇に葬られかけていた数々の「海賊版漫画」の世界を通して、日本製コンテンツの受容の新たな一面を知ることが出来る一冊となりそうだ。
大江・留・丈二『世界海賊版マンガ大全』は2025年10月上旬より全国書店、ネット通販などで発売されるとみられる。192ページで、価格は3500円+税。


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