「第55回大宅壮一ノンフィクション賞」の選考委員会が5月15日に開催され、春日太一『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』(文藝春秋)が受賞した。

 大宅壮一の業績を記念して1970年に創設された、各年のすぐれたノンフィクション作品を表彰する文学賞。

 『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』は、映画『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族に託された膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。

 春日太一は、1977年生まれ。日本大学大学院博士後期課程修了(芸術学専攻)。大学院在学時より時代劇を中心に映画スタッフの取材を開始。2006年『時代劇マガジン』への寄稿を皮切りに、本格的な執筆活動に入る。著書に『時代劇は死なず! 京都太秦の「職人」たち』、『天才 勝新太郎』、『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』、『大河ドラマの黄金時代』など。

 候補作品には受賞作のほか、石川結貴『家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで』(文藝春秋)、古川英治『ウクライナ・ダイアリー 不屈の民の記録』(KADOKAWA)、森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)が挙がっていた。