青にもいろいろな青がある。
わたしはいくつもの青を想像する。
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彼女は、ニヤニヤとした笑顔の残像をばらまきながら食事を終えて、出掛ける支度をするために席を立つ。朝食の後片付けは彼の担当。
(2017年)
どうして私は家に帰るのだろう。
それは、家があるからだけれど、そこに山があるから登るとか、ゴールがあるから走るんだとか、そんなレトリックは、ときどき格好良く感じるだけで、その実何も意味を成していない。
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すると彼女が笑う。
それには心当たりがあるわ。きっと秋刀魚を焼いていたから、じゃない?
(2017年)
大昔、海と空はひとつだったのです。
少女が語る。
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まさに国籍不明。
それで、今日も溺れそうになったのね。
(2017年)
お昼休みは外食をする。
経済的なことを考えれば、マメにお弁当を作る方がお得だ。
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彼は左右の耳の下から顎の辺りまで掌でなぞる。
この辺にできるのかな、鰓。
(2017年)
目の前を一尾の魚が横切った。
見たことのない魚だった。
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とにかく彼女の提言に従って、シャワーを浴びよう。
それから、ゆっくり食べることにしよう。
(2017年)
今時、都会のスーパーマーケットは夜遅くまで開いているから帰宅時間が不規則になりがちな私にとっては便利だけれど、便利というだけで、快適ではない。
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少女の身体にわたしの顔、ね……。
あなた、わたしにそんな妄想抱いていたの?
(2017年)
「空と海の違い、わかる?」
彼女が問う。
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空気の抜けたビーチボールみたいに会話は全く弾まないのだけれど、私はけっこう楽しかった。さほど好物というわけでもない白身のお魚をとっても美味しく頂いた。
(2017年)
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