木村香織『ミニスターリン列伝 冷戦期東欧の小独裁者達』が、パブリブより11月に発売されることがわかった。

2024年2月に髙井ホアン著『鬼畜米英漫画全集』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、この度、『世界独裁者名鑑』シリーズが始動した。その第一巻として『ミニスターリン列伝 冷戦期東欧の小独裁者達』が出版される。著者は、ソ連・東欧史を研究し、以前パブリブより『亡命ハンガリー人列伝』を出版している木村香織である。

パブリブでは、ソ連や東欧に関する書籍を数多く出版し、好評を博してきた。今回出版される『ミニスターリン列伝 冷戦期東欧の小独裁者達』では、ソ連の指導者にして独裁者であるスターリンに影響を受けてその権威を笠に着ながら、フルシチョフによるスターリン批判が始まるまで独裁や個人崇拝を進めようとした数々の東側諸国の独裁者が紹介される。スターリンについて扱った書籍は数あるものの、その周辺国の「ミニスターリン」たちを詳細に連携して紹介する書籍が、これが初めてとみられる。

・ブルガリア ディミトロフ ドイツ国会議事堂放火事件裁判で英雄化、バルカン連邦構想で叱られる
・ブルガリア チェルベンコフ 「チトー主義者」粛清でスターリンのお気に入り、その死と共に失脚
・ハンガリー ラーコシ サラミ戦術で知られ「スターリンの最も優秀な生徒」と呼ばれた男
・チェコスロヴァキア ゴットワルト スターリン葬儀参列直後に急死し、スターリン批判を免れる
・ポーランド ビエルト ソ連のスパイ故、内向的でカリスマ性乏しく個人崇拝うまくいかず
・ルーマニア チャウシェスク ネオスターリニズム推進、妻エレナまで個人崇拝の対象に
・ルーマニア ゲオルギウ=デジ スターリン死後、西側とも関係改善、ソ連軍撤退まで要求
・アルバニア ホッジャ スターリン批判以降も主義堅持、ソ連・ユーゴ・中国とも袂を分かつ
・東ドイツ ウルブリヒト 社会主義陣営の模範国家と自画自賛しブレジネフから疎まれ失脚
・東ドイツ ホーネッカー ゴルバチョフにまで呆れられ、ベルリンの壁崩壊、冷戦終結に寄与

また、これらの独裁者側だけではなく、それらに敵対し、あるいは粛清された人々らについても詳細な紹介がされる。グラーグ(強制収容所)や、スターリンに敵対したユーゴスラビアのチトーに関わる事柄などについてもコラムで紹介されるという。428ページという大著でもあり、ソ連・東欧、共産主義者や共産趣味者らを始め、歴史と権力に興味のある人ならだれでも読んでおきたい一冊となりそうだ。

木村香織『ミニスターリン列伝 冷戦期東欧の小独裁者達』は、2024年11月上旬より全国書店、Amazonなどで発売されるとみられる。428ページで、価格は2600円+税。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。