北海道・旭川市民実行委員会が主催する『第56回小熊秀雄賞』を鎌田尚美の詩集『持ち重り』(思潮社)が受賞した。

 北海道生まれの詩人・小熊秀雄の業績を顕彰し、併せてすぐれた現代詩の才能に賞を贈られる。最終選考会は8日、旭川市高砂台の旅館「扇松園」で行われた。対象は、2022年1月から12月末までに刊行された詩集。全国から80点の応募があった。実行委員会による一次審査、最終選考委員らによる二次審査を経て、7点の詩集がこの日の選考会にノミネートされた。

 選考委員は、アーサー・ビナード(詩人・エッセイスト)、佐川亜紀(詩人)、堀川真(絵本作家・名寄市立大教授)、松井晶彦(演出家)の四氏。実行委員会の坂井勝が進行役を務めた。

 受賞の知らせを受けた鎌田は「小熊秀雄の人生を思い、残された作品を享受し、自分自身のこれからの創作に真摯に向き合い、自分にとっての創作を追求していこうと思います」とコメント。

 鎌田は、1968年、神奈川県生まれ。宇都宮短期大学附属高校卒業。東洋大学中退。2015年頃から詩の創作をはじめた。受賞歴は、第3回日本現代詩人会 投稿欄新人、2022年、雑誌『ユリイカ』の「ユリイカの新人」。『持ち重り』で、第28回中原中也賞、第33回日本詩人クラブ新人賞、第73回H氏賞の最終候補になっていた。

 なお贈呈式は、5月13日午後3時から、アートホテル旭川(市内七ノ六)で開かれる。受賞者には、正賞の「詩人の椅子」と副賞30万円が贈られる。

 また、記念講演として、『雨の合間』で第55回小熊秀雄賞を受賞した津川エリ子さん(小説『オニ』で第56回北海道新聞文学賞=創作・評論部門=受賞、アイルランド在住)が話す予定。受賞者による詩の朗読、選考委員による講評なども行われる。参加費は700円。