梶山祐治『中央アジア映画完全ガイド』が、パブリブより12月に発売されることがわかった。
2025年7月に髙井ホアン著『反日アニメUSA』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、世界の様々な映像文化などについての書籍も近年手掛けている。昨年、『世界シネマ読本』のVol.1として『ウクライナ映画完全ガイド』が出版されたが、その続刊としてこの度『中央アジア映画完全ガイド』が刊行されることとなった。著者は前巻に続き、旧ソ連圏映画研究の専門家である梶山祐治である。
パブリブでは、これまでもギュルソユ慈『トルクメニスタン・ファンブック』など中央アジアや共産圏に関する書籍を刊行してきた。今回出版される『中央アジア映画完全ガイド』は、日本では広く知られているとは言い難い、中央アジア地域の各国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン、トルクメニスタン)の映画を取り扱い、内容や各国の映画事情を紹介する書籍となる。
・エリヨル・イシムハメドフ『やさしさ』タシュケントを襲った大地震直後にロケ撮影された雪解け期映画の代表作
・トレニヤズ・カリムベトフ『タンカ』中央アジア特有のコネの問題を、カラカルパク文化で彩ったスクリーンに提示
・アルダク・アミルクロフ『オトラルの陥落』アレクセイ・ゲルマン製作のもとアミルクロフが描く帝国の崩壊
・サティバルディ・ナリィムベトフ『小さなアコーディオン弾き』朝鮮人強制移住と日本人抑留者の歴史がつながる
・ダレジャン・オミルバエフ『シュガ』「アンナ・カレーニナ」を下敷きに、中央アジアの都市で不倫にはまる男女
・ラディク・エシモフ『火事』抑圧された女性の立場と男性目線の欺瞞が、ホラーの形式を借りて暴かれる
・ウラジーミル・エロフェエフ『世界の屋根』ソ連辺境の未到の地にカメラが好奇な眼差しを注ぐ
・ボリス・キミャガロフ『ロスタムとソフラーブ』叙事詩『シャー・ナーメ』を原作にしたペルシャの一騎討ち
・ブラト・マンスロフ『競演』ドゥタールの名手が楽器だけを手に、捕虜となった兄を単身救出に向かう
・ムラド・アリエフ『黄色い雄牛の夜/大地震の子供たち』大統領命令によりお蔵入りとなった幻のフィルム
こうした様々な作品の解説に加え、各国の映画事情や、用語解説など、理解に欠かせないコラムも付属している。『中央アジア映画完全ガイド』を読み、新しい世界の映画の出会いへのきっかけとしたい。
梶山祐治『中央アジア映画完全ガイド』は、2025年12月上旬より全国書店、Amazonなどで発売されるとみられる。240ページで、価格は2800円+税。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。


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