現代思潮新社は、公式サイト上で、2025年9月末に廃業する旨を発表した。

1957年、前身の現代思潮社を石井恭二が創業した。当時より、「良俗」や進歩主義に抵抗するような多くの書籍を刊行し、澁澤龍彦らによるマルキ・ド・サドの翻訳や、対馬忠行の編纂によるトロツキー全集など新左翼・反スターリン主義的な書籍を世に送り出した。また、1969年には美学校を設立し、様々な前衛芸術や美術教育を提供した。

一方、1960年には、澁澤龍彦が刊行したサドの翻訳作品が警視庁生活安全部保安課により押収され石井と澁澤が起訴され、1969年まで9年間にわたり「悪徳の栄え裁判」(サド裁判とも)を争うこととなった。

1996年に石井が経営を離れ、2000年には現代思潮新社と名称を改めた後も多くの書籍を刊行していたが、「諸般の事情」という理由で廃業することとなった。サイト上では「かねてより石井恭二が念願としていた「出版社としての死滅」を成就、石井との約束を果たすことができ、万感の思いを感じております」という社員一同のメッセージが記載されていた。