こんにちは。破滅派同人の高橋文樹です。

今日は仕事を休んだので古本屋などにぶらりと立ち寄るなどという自由な一日を過ごしたのですが、思わぬ掘り出し物を発見しました。

終末から

終末から

「面白本コーナー」といういかにも学生街の古本屋らしい一角を眺めていると、「終末から」という雑誌が目に止まりました。

創刊号の特集はなんと「破滅学入門」。

「これは!」と破滅派アンテナが猛烈に反応したため、取敢えず創刊号をキープ。書棚をざざっと眺めると、いきなり「終刊号」が(笑) あえなく9号で廃刊したようですね。隔月刊はやはり無理だったのか。

とりあえずその書店においてあった1,2,3,9号は購入しました。

この「終末から」という雑誌、いかにもネタ本な感じなんですが、執筆陣が以外と豪華なんですよ。
創刊号だけでもこんな感じ。

  • 野坂昭如(たぶんリーダー)
  • 井上ひさし(「吉里吉里人」の連載初出はこれだったのか……)
  • 石牟礼道子
  • 赤瀬川原平
  • 小松左京
  • 呉智英
  • 開高健
  • 田辺聖子
  • 東海林さだお
  • 嵐山光三郎
  • 荒木経惟(アラーキー)
  • 横尾忠則(「千年王国」っていう変なポスター描いてる)

と、他にも僕が知らないだけで、読む人によっては「え、あの人も?」なんて思うのかもしれません。筑摩書房も無茶なことしますね。

他の号にはこんな人が参加してました。

  • 吉増剛造
  • 石原慎太郎
  • 瀬戸内晴美
  • 埴谷雄高
  • つげ義春
  • 五木寛之
  • 野間宏
  • 種村季弘

終刊号の編集後記には、王様のブランチで本の解説やっている松田哲夫さんが沖縄でデモに参加してパクられたエピソードを書いてますね。この方が編集人を勤めたんですかね。

終刊号以外の特集にはすべて「破滅」という文字が入っているシンクロぶり。僕があの古本屋でこの雑誌と出遇ったのは運命めいたものを感じます。完全に錯覚でしょうが。

これはぜひとも全巻揃え、ちゃんと研究したいですね。ノリも破滅派の先祖ではと思わせるほどです。

底辺から

底辺から

ちなみに、同じ本屋に「底辺から」という雑誌もありました。こちらは「差別・抑圧と戦う文学」と銘打たれているので、まんまですね。寄稿者は定時制の教師だったりして、リアルすぎます。ちょっと胡散臭さが足りないような。

ほほづゑ

ほほづゑ

そういえば、僕は最近fujisan.co.jpというサイトで雑誌の定期購読を始めたんですが、その中の一つに「ほほづゑ」という文芸誌があります。

これがまた「終末から」とは真逆の内容なんですが、「文化・芸術を愛する財界人によるユニークな同人雑誌」です。同人一覧が面白くて、偉い人ばっかし。世話人には資生堂の名誉会長とか、凸版の元社長とかがいます。もちろん、辻井喬こと、堤清二さんも参加されていますね。

「ほほづゑ」の公式サイトにはこんな宣言文が掲げられています。

経営者も普通の人と同じように、
正義感も倫理観も持っているし、
教養も美意識もあることを示さなければいけない。
そのためには経営者も古典に親しみ、
世を憂え、詩歌もつくることを心掛けるべきだ
というのが同人雑誌発刊の動機です。
財界人文芸誌”ほほづゑ”公式サイト

文学もまた、社会や政治と無縁ではありませんね。しかし、階級闘争の手段と化してしまうこともつまらない。

「破滅派はいったいどこにいるんだろう?」ということを、最近よく考えます。破滅派なんだからど底辺に決まってるような気もしますが、結構いい大学出てぷらぷらしてる人もいっぱいいるので、社会の決まった層として決めつけることはできません。

「破滅派のポジション」というものに関して、僕はわりと無頓着に考えていたのですが、そうは感じない人も多いのではないかということが最近気になるようになりました。

自己批判とかはガラじゃないですが、一度深く考えてみたい問題ですね。

今回は単なる紹介に留まってしまいましたが、破滅派四号に向けて「雑誌論」でも掲載できたらな、と思ってます。

高橋文樹 拝