小休止、『芸術家気取りの君へ』

 
 これから提示する雑文は、この場を借りて、或る似非文筆家にあてた私信であるが、万が一、読んで不愉快になる人がいるかもしれませんので、前もってここで謝しておきます。
 
 君は、なにか自己の存在価値を履き違えているようだ。まるで、君のお文章の中の、エログロを見ている気分。エログロは簡単でしょう? センスもなにも要らず、困っちゃえばそう書けばいいのだから。
 おっと、学術的な反論は止め給え。そこはぼくが、いつか聞いた時にだけするがよい。下手な押し付けで釣れるのは、ほとほと権力に弱い女性だけであって、ぼくには全く通用などしない。ではまず、第一に聞こう。普通に、立派な小市民生活をやるのも否、かといって、底辺を彷徨いたくもない。そんな君が、求めている ものはなんだろう? 過信? 別格意識? おいおい、ただふわふわと、浮いているのも破滅? 冗談じゃない、甘い自己解決は見苦しい。或る時は学をひけらかせて、或る時は、子猫のように泣きじゃくる。それでいて周囲の、他人の事になど全く、そう全くと気遣いもせず、一本、芯が通っているフリをする君。いやしさにも程 がある。おぞましい。
 第二に、何故に君は、そこまで他人をダシに使うのだろうか?
 ぼくは、君の秘密は地獄に落とされて、ハリツケセンボンにあっても洩らすまい。何故なら、言わないと約束をしたから。だが君は、ぼくの全て、それもお話し百倍、有る事無い事まで囀む。逆説の、人気取りだろうか? 然しはっきり言えば、君の他愛ないチープ・トークの御蔭で、ぼくは諸々を失いもした。心当たりが あるだろう? その卑俗さは、如実に君の文章に現れている。
 第三に、似た意義であるが、よく君は、自分が勝てない者を試す。
 例えば、ぼくに対しても、アルコールは好きですか? と、野暮な事を聞く。ぼくは、好きで飲んでいる訳ないだろ? と思いつつも、馬鹿らしく迎合してやって、旨いねえ、と呟く。次に、もうどのくらい飲んだか? と、キャキャキャと聞く。ぼくは、まだまだこれからですよ、と、答えてやる。最後に君は、もう随分 お召し上がりのようなので、あなたの、掛けようとしている眼鏡を下さい、と、ねだる。ぼくは、酔眼の真似でも、真実そうだとしても、どっちでもいいが、ああ、どうぞ、と呉れてやる。このプロセスには、幾重にも深い描写が必要なのだが、君や、その奪った眼鏡は安易に、ケバケバしく捉え、そうして吐き、書く。以前、ミク シィにも引用したが、判らぬようなので、もう一度だけ提示する。
 太宰、『織田君の死』
 
 世のおとなたち(君等、俗物も含め)は、織田君の死について、自重が足りなかったとか何とか、したり顔の批判を与えるかも知れないが、そんな恥知らずの事はもう言うな! (中略)
 織田君を殺したのは、お前じゃないか。
 
 第四に……、ああ、もう相手にしていた自分が馬鹿らしくなった。外は白々と明けてきたし。もう、いいや。ぼくはぼくなりに、信ずるものを書けばいいだけの話し。この雑文を、消去しようとも考えたが、短くとも、ここまでカタカタ打ったから、それもまあいいや。ただ、君等のニヤニヤのまあいいやと、ぼくのそれは 大いに違うと断じて。
 
 この雑文を見て、心当たりがある者もいようが、返事は控える。ぼくも情けなく酔いどれていたし、なにより、君等の言い訳の啓蒙は、魂が穢される故。そう、哀れなる者の独白として、意味が判らないって逃げとけばいいのだよ。
 
 
            『オフライン・ナガサキ』、オタノシミニー。
 


Start Yahoo! Auction now! Check out the cool campaign

この投稿について