『本の雑誌』2016年11月号はプロを目指すための登竜門としての新人賞を紹介している。はめにゅーの読者にも多いだろう作家志望の方はぜひ目を通しておくとよいだろう。とりわけ役に立つのは以下の3本の記事である。

  1. めざせ新人賞座談会 応募券を忘れるな!
  2. 新人賞歩留まり率調査!
  3. 付録・気になる新人賞一覧

座談会は大森望、川田未穂、杉江松恋による鼎談。「新人賞受賞後、単行本が出るか」「受賞後、作品を直す時間はどれぐらいあるか」「下読みの段階では読む人が同じ」などの作家にとって重要なファクトがちらほら出てくる。

また、「新人賞歩留まり率調査!」では、受賞後に3冊以上の単行本を出せているかどうかを基準に、各新人賞の評価を行なっている。やはりミステリ系が強いようで、これは個々の作品の質というより、ジャンルがいかに重要な要素かということを改めて思い知らせてくれる。

そして、新人賞一覧は、各新人賞の枚数や賞金、選考委員などがまとまっているので、年間計画を練るぶんには役に立つだろう。

山形小説家・ライター講座に潜入する「おじさん三人組、山形に行く!」も面白い。同講座は一般的なカルチャースクールとは一線を画す講座になっており、プロ作家も多く輩出している。その講座の雰囲気を感じることもできそうだ。

その他、編集者や作家によるエッセーも何本か収録されており、その多くは「どうやって新人賞を取るか」ではなく、「新人賞を獲ったのちどうするか」にフォーカスを当てている点も興味深い。

去年の雑誌ではあるが、はめにゅーの読者で未読の方がいたら、ぜひ手に取ってみてほしい。Amazonなどでバックナンバーを取り寄せることができる。