このほど、沖縄映画研究会が創設された。沖縄で制作される映像作品、沖縄を舞台とする劇映画やドキュメンタリー、沖縄県内の映像産業などに関する調査研究の促進および研究成果の共有を目的とする団体だ。来たる9月9日には沖縄県那覇市のてんぶす那覇にて同会の第1回研究発表会が催される予定。

沖縄映画研究の射程は戦前・戦後の郷土文化史の調査に始まり、フィルム保存の推進、日本映画・アメリカ映画におけるマイノリティー/他者表象の批評的考察、地方の映像産業が抱える経済的問題への提言など多様な領域を含む。本研究会は従来の日本映画研究の枠組みに収まらない活発な学術交流の場となるだけでなく、研究成果を沖縄の映像文化の発展と継承に寄与させる産学連携のネットワーク構築が期待される。

同会代表は『沖縄劇映画大全』(ボーダーインク、2008年)などの著書で知られる映画史家の世良利和。新鋭映画研究者の名嘉山リサと藤城孝輔がそれぞれ事務局長と運営委員長を務める。現在、公式ウェブサイトとFacebookページが開設されている(下記の関連リンクを参照)。

沖縄映画は「うちなー芝居」と呼ばれる郷土演劇と共に発達した歴史を持つほか、沖縄出身作家の作品の映画化もたびたび行われるなど文学との親和性が高い。日本文学の刷新を志すはめにゅー読者諸賢が沖縄映画から得るところは多いはずだ。

同会では現在会員を広く募集している。研究者や映像制作者に限らず、沖縄映画に関心を持つ者であれば誰でも入会可能であるという。

 

写真 首里劇場1955年1月~2月頃(NPO法人シネマラボ突貫小僧提供)