TOKYO FMは2017年8月20日(日)19時より、ロバート・キャンベル進行によるラジオ番組『人生に、文学を。』を放送する。これは日本文学振興会が展開している同名プロジェクトの一環として制作されるもので、毎回小説家がゲストとして登場することになる。放送は不定期だが年4回を予定しており、初回は桐野夏生が招かれる。

日本文学振興会の「人生に、文学を。」は、2016年7月にスタートした文学啓蒙プロジェクトだ。マスメディアを通じたメッセージ発信のほか、全国各地の大学で小川洋子や浅田次郎といった著名作家によるオープン講座も開講され好評を博した。一方で、アニメを見下しているかのような広告を出して炎上したことも記憶に新しいだろう。

プロジェクトが2年目に突入するにあたり、日本文学振興会では今年7月からを第2期と位置づけている。コンテンツのさらなる拡充が第2期の目玉で、その一環がFMラジオを通じた番組発信だというわけだ。日本文学に精通し語り口もスマートでラジオ向きなロバート・キャンベルを進行役に据えるという采配は、少々置きにいきすぎた感もあるが、日本文学振興会の本気度の表れといえるだろう。

初回放送では、谷崎潤一郎とその周囲の女たちを描いた小説『デンジャラス』を6月に上梓したばかりの桐野夏生が登場する。ただ作家を招いて本人の話を聞くだけという番組はどこにでもあるが、作家が作家について描いた作品を通じて日本文学のエッセンスを掘り下げようという試みはなかなか多層的でユニークだ。初回から早々に今後を期待させる放送となるのではないだろうか。