2017年8月1日、新潮社は第4回新潮ミステリー大賞の選考結果を発表した。今回の受賞作は、4回目の開催にして初の「該当作なし」となった。選考委員を務めたのは伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介の3名で、選評は9月22日発売の「小説新潮」10月号に掲載される。

新潮ミステリー大賞は、大手出版社主催の文学賞としてはめずらしく原稿枚数に上限がないことで知られる。また、対象となるのは本格ミステリーだけに限らず「広義のミステリー」となっているため、ミステリーを主戦場とはしない作家志望者からの人気も高い。小説投稿サイト等の勃興によって短い作品が喜ばれる傾向にある昨今にあっては、長篇を得意とする書き手が力試しをできる貴重な機会となっていた。

例年どおり今回も7月に最終候補4作が発表されていたが、残念ながら吉報は誰にも届かなかった。実は筆者は今回の4名のうち2名(瑞穂はじめ氏・大鴉こう氏)と親交があり、これなら50%の確率で喜びのニュースを書けるぞと息巻いていたのだが、まさかの予想外の結果である。とはいえ最終選考に残る実力のある人には、必ずやまた次のチャンスがあるだろう。今後にますます期待したい。