『シン・ゴジラ論』『新世紀ゾンビ論』などの著書で知られる文芸評論家・藤田直哉が、新しい文芸誌を創刊するためのクラウドファンディングに挑戦中だ。この文芸誌は「東日本大震災を経験した人の言葉」を集めたものとなる予定で、目標金額は200万円、募集終了は4月22日(土)23時59分までとなっている。

藤田が自ら文芸誌を起ち上げようと思ったのは、現在の文学に「当事者の文学」が不足しており、そうした現状に危機感を抱いたからだという。きっかけは、新人文学賞の下読みを担当しているときに出会った東日本大震災の被災者による投稿作品だった。それは技術的に洗練されているとは到底いえないものだったが、にもかかわらず、当事者ならではのリアルな手触りがあったという。そこで藤田は、震災の当事者の言葉をあつめた文芸誌が必要だと確信した。

CAMPFIREのプロジェクト詳細ページで、藤田は次のように語っている。

東日本大震災と、そこから続く経験は、おそらく、人類にとって未曾有のものです。未曾有であるがゆえに、それを語る言葉は、既存の言葉の中にはないのです。
だから、語るためには、言葉や形式を発明しなくてはならないのです。

クラウドファンディングによって集められた資金は、印刷費やデザイン料、取材費などに用いられ、藤田個人の人件費には一切使われないという。支援額は3,000円から30万円まで6コースが用意されており、30万円コースでは編集会議に参加することも可能なようだ。〆切まではまだ10日以上残されているので、藤田の理念に共感した人は支援を投じてみてはいかがだろうか。