1月19日(木)、築地の料亭・新喜楽において第156回芥川龍之介賞・直木三十五賞の選考会が開かれた。芥川賞には山下澄人『しんせかい』が、直木賞には恩田陸『蜂蜜と遠雷』が決定している。

山下澄人は1966年生まれの50歳、劇作家。2011年より小説の執筆をはじめ、2012年には『緑のさる』で野間文芸新人賞を受賞している。今回受賞した『しんせかい』は新潮7月号に掲載された160枚の作品であり、事前の予想(といっても筆者のTwitterのタイムラインを見るかぎりだが)ではこれを有力候補として挙げる者も多かった。芥川賞候補になるのは今回が4度目だった。

恩田陸は1964年生まれの52歳。1992年のデビュー以来、これまでに吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、ついでに本屋大賞など数々の賞を受賞してきた。「まだ受賞していなかったのか」という感想も散見される言わずと知れた実力派作家である。直木賞候補になるのは今回が6度目だった。

両賞ともにたびたびノミネートされてきた作家の受賞ということで、相変わらずの「順番待ち」感を拭えない部分もあるが、個人的にはいずれも予想どおりだったので妥当な選考といえるのではないだろうか(なお予想は当たったが希望は別の作家だった)。

ここ数年、芥川賞・直木賞への関心は再び高まってきているように思える。出版業界がその威光に頼りすぎているきらいはあるものの、定期的にヒット作を生み出せるイベントがあるというのはやはり文壇にとっても出版業界にとっても好ましいことではあるだろう。両氏のますますの活躍に期待したい。