今月は5誌が発売。

新潮2017年2月号

  • トップ扱いの創作は舞城王太郎「秘密は花になる。」(110枚)。家族と愛情をめぐる物語。
  • 昨年10月に逝去した高井有一の未完遺稿「帰還」も掲載。
  • 創作はほかに大城立裕、岸政彦。
  • 評論では、山城むつみによる「ベンヤミン再読――運命的暴力と脱措定」に注目。
  • 小林秀雄賞受賞以来注目の高まっている森田真生は今号より新連載「数学する言葉」をスタート。
  • ほかに福田和也、やなぎみわ、四方田犬彦、池田純一らが評論を寄稿。
  • 安田登×いとうせいこうの対談「漱石と能楽~謡えばわかる!」も。メモリアルイヤーとあって漱石関連の特集は今後も増えそうである。

文學界2017年2月号

  • 松浦理英子の長篇「最愛の子ども」(320枚)が掲載。女子高生3人による疑似家族をモチーフとした物語。
  • ほか創作に馳平啓樹、水原涼、岸川真。
  • エセーは山本芳久、根本宗子、川崎昌平といった面々。
  • 巻頭表現では、気鋭の建築家・光嶋裕介によるドローイング「幻想都市風景」が。
  • 今号の特集は「石牟礼道子を語る」。伊藤比呂美×高橋源一郎×町田康による鼎談や、赤坂真理による思索紀行文が掲載されている。

群像2017年2月号

  • 創作陣は青山七恵(短篇)、水原涼(中篇)、青木淳悟(短篇)と充実のラインナップ。
  • カリスマブロガー・はあちゅうの小説デビュー作も掲載。著名人が文芸誌に小説を書く場合は本名を筆名とすることも多いが、あえて「はあちゅう」名義なのは面白い。
  • 評論では、若松英輔の「たましいを旅するひと──河合隼雄」が今号より連載スタート。
  • 高原到による原爆をめぐる評論「不可視との遭遇」も。
  • 昨年上梓したSMAPに関する著作も話題の矢野利裕が、あらためてSMAPについて語っているエセーも掲載。
  • ほか、鳥海修、岡田暁生、松居大悟のエセーも。

すばる2017年2月号

  • 「批評の未来2017」と題した大型特集が目玉。大澤信亮、杉田俊介、中島岳志、浜崎洋介、岡和田晃、藤田直哉、矢野利裕、荒木優太と気鋭の批評家たちの名がずらりと並んでいる。
  • 創作は辻仁成(前号掲載作の後編)と椎名誠。
  • 桐野夏生がパリで行った江戸川乱歩についての講演の模様も掲載。
  • 恒例の海外作家シリーズでは、イスラエルのエトガル・ケレットをピックアップ。訳・解説は秋元孝文。
  • エセーに広小路尚祈、稲垣えみ子。
  • 連載陣では、赤川次郎「ニッポン零年」が最終回を迎えた。
  • インタビュー「ひと」では高村薫を取り上げている。

文藝2017年春季号

  • トップ扱いの創作は羽田圭介の最新長篇「成功者K」(560枚)。芥川賞受賞をきっかけにTVに出まくり有名になった作家Kについての話だという。まさに今のタイミングだからこそ書ける小説か。
  • ほか創作では、金子薫、佐々木中、李龍徳の長篇と、青山七恵、片岡義男、藤野可織による短篇が掲載。長野まゆみの連作「銀河の通信所」も完結。
  • 評論では、文學界の元編集長・湯川豊による「大岡昇平論」が連載開始。
  • エセーに辻仁成、少年アヤ、本多正一。
  • 7月に逝去した柳瀬尚紀の追悼特集も。朝吹真理子、いしいしんじ、稲川方人、円城塔、岡田利規、柴田元幸、高山宏、四方田犬彦の8名が追悼文を寄稿している。

以上、2017年1月発売の5誌について概観をお伝えした。