くまもと文学・歴史館は11月11日(金)、三島由紀夫の直筆原稿4編が見つかったと発表した。今回発見されたのはデビュー作「花ざかりの森」など初期作品の原稿で、長らく所在不明とされていたものだ。同館によれば原稿は完全に解読可能な保存状態だとのことで、文学史的にきわめて貴重な資料といえる。

直筆原稿は、今年9月に国文学者・蓮田善明の遺族から寄贈された資料のなかに含まれていたものだった。蓮田といえば、文芸誌『文藝文化』を創刊し三島を見出したことで知られる人物だ。「花ざかりの森」をはじめ、同時に見つかった作品はいずれも『文藝文化』誌上で1941~43年にかけて発表されたものであり、三島の直筆であることは間違いないと見られている。遺族によれば、これらは蓮田が出征する際に「家宝」としての残していったものだという。

発見された4編は以下のとおり

  • 小説「花ざかりの森」 56枚 1941年9月号~12月号掲載
  • 随筆「壽」 11枚 1942年1月号
  • 小説「みのもの月」 43枚 1942年12月号
  • 小説「世々に殘さん」 105枚 1943年3月号~9月号

現時点では著作権等の問題から公開は未定となっているが、同館は今後慎重に手続きを進めていくとしている。