「鎌倉文学館フェスティバル」が11月20日(日)まで、同館で開催されている。会期中は特設カフェやコンサート、朗読ワークショップ、川端康成邸秋の庭園公開、第5回鎌倉文学館子ども文学賞表彰式など、各種イベントが盛りだくさん。会期中は市内にある文学ゆかりの場所をめぐるスタンプラリーが毎日行われている他、「ビブリア古書堂の事件手帖」特別展も12月11日(日)まで同時開催中である。

 

鎌倉文学館と言えば数多くの文豪とゆかりを持ち、歴史ある重厚な邸宅が有名な日本でも指折りの文学館。そしてもう一つの見どころは西洋庭園風に手入れされたバラ園である。ナポレオンの皇后ジョセフィーヌが品種改良によってその礎を築いた現代バラは四季咲きで、その見ごろは春と秋だ。秋バラは気温が低下していく中で育っていくので、花は小さくなるがその分、香りと色が良く、長持ちする。まさに今が見ごろである。鎌倉文学館には186種221株のバラが植えられている。

 

あなたがもしも岐阜県にお住まいなら、その幸福を享受すべきだ。花フェスタ記念公園では7000種30000株のバラが待っている。これは世界最大規模である。千葉県の京成バラ園では1000種7000株、東京の神代植物公園は274種6000株。都市型のバラ園は狭い土地に密集してバラが植えられているので、足を踏み入れた瞬間、その圧倒的な香りによってメルヘンの世界へ連れ去られるだろう。神奈川県なら大船植物園と思われがちだが、期間限定で公開される向ヶ丘遊園跡地の生田緑地バラ苑が530種4700株でオススメだ。この時期はどのバラ園でも多数のイベントが開催されているので、ぜひチェックして欲しい。

 

世界で最も有名な詩の一つであろうゲーテ作『のばら』。「童は見たり 野中の薔薇」で始まる部分は誰もが口ずさむことができるはずだ。シューベルト作曲が有名だが、実は他にも数多くの作曲家がこの詩にメロディーをつけている。また、音楽の授業で歌うのは1番ばかりで、2番以降のドラマチックな展開を知らない人も多いのではないか。「手折りて往かん 野中の薔薇 手折らば手折れ 思い出ぐさに 君を刺さん」

くれぐれもバラは折らないように。