2016年9月8日(木)、丸善ジュンク堂書店は自社が手がける『新厨房楽』ブランドから洋食レトルトパックシリーズを新発売した。ラインナップされているのは「ハヤシビーフセット」「カレービーフセット」「ハヤシ&カレーセット」の3種類で、いずれも本の形をした化粧箱入りで売られている。各2食入りで、価格は1,300円(+税)。

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「老舗書店がどうして洋食を?」と怪訝に思う人もいるかもしれないが、書店史や洋食史に造詣の深い人であれば、丸善とハヤシライスが浅からぬ関係にあることはご存知だろう。一説によれば、ハヤシライスという洋食の名称は丸善創業者である早矢仕はやし有的に因んだものだとされているからだ。この説には異論もあるが、いずれの説をとっても間接的に早矢仕が関わっている可能性は高いようである。

そうした逸話を受けた丸善は1954年、日本橋店の屋上「丸善レストラン」を開業し、そこの主力メニューとしてハヤシライスを提供するようになった。意外と知られていないが、現在も日本橋店と京都店には「MARUZEN Cafe」が併設されており、明治時代から伝わるハヤシライスを食べることができる。

レトルトシリーズの発売日となった9月8日は早矢仕有的の誕生日であり、今年からは「ハヤシライスの日」にも制定された。明治期の文化や近代文学に関心のある人ならば、一度は食べておきたい味ではないだろうか。