7月20日の新聞各紙に掲載された文学振興プロジェクト広告に書かれていた文章が「アニメを見下している」等と批判され、ネット上で炎上するなどの動きがあり、8月4日に日本文学振興会は釈明文を公開した。

問題の発端は7月20日の新聞各紙に掲載された、文学振興プロジェクト「人生に、文学を。」の広告であった。このプロジェクトは「本を読むこと」「文学に親しむこと」の素晴らしさを世に広めると言う目的で日本文学振興会と株式会社文藝春秋が協力して発足、更に新聞各社や大企業各社の後援の元に進められるなど、かなりの力の入れ様が見られた。しかし、新聞に掲載された広告に、この様な文章が載せられていたのが問題となった。

文学を知らなければ、

目に見えるものしか見えないじゃないか。

文学を知らなければ、

どうやって人生を想像するのだ(アニメか?)

最後の「アニメか?」と言う一文を「アニメを見下している」と受け止める人が多く、ネット上では多くの批判や皮肉的パロディが発生し、所謂「炎上」状態となった。広告の為にインパクトのある文章を使ったのだろうが、単に説明不足で人を煽る様な文になり裏目に出た形となったと言える。

そして8月4日、広告元である日本文学振興会はネット上のキャンペーンサイト釈明文を公表。アニメ表現を見下したり煽る意図ではなかったと釈明し、配慮をしつつこれからもプロジェクトを進めるとした。

世の中には様々な表現媒体がある。この120年で生まれたアニメーションや映画や録音技術(を前提とした音楽)などに比べれば、文学は確かに長い歴史を持っている。しかしどの表現媒体も環境に合わせ発展し、ある時は垣根を越えさえした。文学も同様である。文学と言う表現を再確認するに留まらず、ある表現が劣っているとか矮小的であると言う様な印象を導きかねない広告をそれも大企業後援で大媒体に載せれば、反発は必須だろう。全ての表現媒体とそれを楽しむ人々に「言い分」がある事を踏まえておく必要があるのではないか。