2016年7月30日(土)、兵庫県姫路市の姫路文学館がリニューアルオープンを果たした。1年にわたって全面改装が施され、映像やグラフィックを用いた最新鋭の展示スペースが登場した。親子向けスペースなども完備し、より幅広い層にアピールしていくねらいだ。

姫路文学館は1991年に開館した市営の文学館で、今年が25周年にあたる。18,000平方メートルもの敷地と南北2つの館を抱える大規模施設とあって、約20億円をかけての大幅改装となったが、安藤忠雄の設計による外観はそのまま維持されている。

北館では、より地域に密接した常設展が設けられた。姫路城の歴史をアニメで紹介した回廊のほか、民俗学者・柳田國男や人間国宝・3代目桂米朝など姫路ゆかりの文人を紹介したコーナーも新設された。一方南館では、150冊の絵本を取り揃えた「よいこのへや」が設置され、今後は読み聞かせや紙芝居などの催しも予定されているという。

姫路文学館にかぎらず、近年は狭義の「文学」に囚われることなく言語表現・物語表現の世界をより幅広く取り上げようという文学館が増えている。博物館化が進んでいると表現することもできるが、文学はもともと人間の営為のすべてに関わってくるものだ。こうした傾向はむしろ文学に対して真摯な姿勢といえるだろう。そろそろ、大英博物館のように美術品や工芸品まで取り扱う文学館が出てきてもよい頃かもしれない。