島本理生が2005年に発表した純愛小説「ナラタージュ」の映画化が発表された。監督は『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』などで知られる行定勲で、メインキャストの2人は松本潤と有村架純が演じる。2017年秋公開予定。

「ナラタージュ」は島本理生が20歳のときに書き下ろした小説で、20万部以上の大ヒットとなった作品だ。山本周五郎賞候補となったほか、「本の雑誌が選ぶ2006年上半期ベスト10」「この恋愛小説がすごい!2006年版」といったランキングでも1位を獲得。TBS系の情報番組『王様のブランチ』で特集が組まれるなど、島本理生の名を世に知らしめた代表作といえる。

芥川賞と直木賞の双方で候補になったことがあるなど、今でこそ中間小説の名手としてお馴染みの島本理生だが、もともとは群像出身で、最年少で野間文芸新人賞を受賞した経歴ももっている。「ナラタージュ」のヒットは、作家論的にも大きな転機となったといえるだろう。今回の映画化は、また今後の作風に変化を与えることになるかもしれない。

小説の映画化作品には歴史的傑作も多いが、それ以上に愚にもつかない駄作も多い。果たして映画『ナラタージュ』はどのように評価されるのだろうか。現段階では想像もつかないが、少なくとも監督とキャストの名前を見るかぎり、興行的には成功しそうではある。続報を待ちたい。