小豆島のカフェ「eiカフェ」で、地元出身の作家・壺井栄にちなんだ献立を食べる夕食会『本からうまれる一皿~壺井栄と庚申の夜』が毎月開催されている。これは瀬戸内国際芸術祭2016「食プロジェクト」の一環となるイベントで、食文化を通じて壺井文学のルーツを辿れる点が魅力だ。

屋内に籠もりがちな仕事柄だろうか、檀一雄や池波正太郎など、作家には食通や料理上手が多い。 『二十四の瞳』などで知られる壺井栄も、作中で食べものに関する記述を数多く残している。壺井本人のみならず夫で詩人の壺井繁治も小豆島出身のため、その食の記述には多分に小豆島の食文化が反映されていると考えられるだろう。

そこで、そうした記述をもとに、小豆島の特産品でアレンジを加えながらレシピを作り上げたのがこの夕食会だ。4回目となる6月の開催では、食事の前に壺井作品の朗読会を行うという新たな試みも見られた。目と耳で文学に触れようというイベントはよくあるが、耳と舌で壺井栄の世界に触れられるこの夕食会は、壺井ファンならずとも楽しめるに違いない。

今後は7月30日、8月27日、9月24日、10月29日と、毎月最終土曜日に開催が予定されている。1食1,000円とリーズナブルでもあるので、近隣の人や小豆島を訪れる予定のある人はぜひ参加してみてはいかがだろうか。