児童文学作家・森はな(1909~1989)の特別展が7月1日(金)より兵庫・高砂市立図書館で開催中だ。森は作家に転身するまで高砂市内の小学校で教員をしており、その縁から高砂市では特に人気が高い。今回の展覧会では、現在入手困難となっている著作や、挿絵の原画など70点の資料が展示されている。

児童文学ファンにとって、森はなといえば「遅咲きの新人」という代名詞でお馴染みだろう。森が本格的に作品発表をはじめたのは、1960年に51歳で教員を退職してからのことだった。初の出版はそれからさらに10年以上が経った64歳のこと。この処女出版作『じろはったん』は大きな話題を呼び、第7回日本児童文学者協会新人賞を受賞している。

以後も、夫の病死や息子の事故死を乗り越えながら創作活動を続け、絵本にっぽん大賞(日本絵本章の前身)や加古川文化賞など数々の賞を受賞した。その功績は地元・兵庫では高く評価されており、出身校では毎年彼女の作品をモチーフにした音楽劇が演じられているほどだという。近年ではついに、「森はなの生涯をNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)にしてもらおう」という運動まで盛り上がっているそうだ。たしかに、ここ10年ほどの朝ドラの傾向を考慮すれば、あり得なくもない話ではある。

今回の特別展では充実した年表も用意されているので、未来の朝ドラを予習するつもりで、その歩みをじっくりと辿ってみてはいかがだろうか。