今月は5誌が発売。

新潮2016年8月号

  • 木村友祐「「野良ビトたちの燃え上がる肖像」(230枚)、高橋弘希「スイミングスクール」(120枚)と、ともに青森出身である作家の新作が掲載。
  • 古井由吉、森内俊雄と、1930年代生まれのベテランの新作も。
  • 連載陣では、高村薫「土の記」が今号で最終回を迎える。
  • ほか、堀本裕樹、阿部和重、佐々木敦が評論を寄稿している。

文學界2016年8月号

  • 今年2月に逝去した津島佑子の絶筆「狩りの時代」(抄)を掲載。
  • 『天才』が売れに売れている石原慎太郎の最新作「いつ死なせますか」も注目の作品。
  • 今月号の特集は「怪」。猛暑を忘れさせるような異色短編を集めたとのことで、表紙に小泉八雲の肖像があしらわれているのもその関連。執筆陣は松浦寿輝、藤野可織、西村賢太、小山田浩子、高山羽根子ら8名。
  • 評論では、鈴村和成が「中村文則論・消滅のフェティッシュ」を寄稿。

群像2016年8月号

  • 目玉の特集はアンソロジー「マイソング」。合計11名の作家が、青江三奈、ミスチル、PUFFYなど歴史を彩ったヒット曲をモチーフに創作を寄せている。文芸同人誌が好んでやりそうな企画だなと思わないでもない。執筆陣は横山悠太、高橋弘希、滝口悠生、吉村萬壱、青木淳悟、荻世いをら、いしいしんじ、荻野アンナなど。
  • ジャズピアニストが主人公の小説『ビビビ・ビ・バップ』を先月刊行した奥泉光が、『あまちゃん』の音楽を担当して以降すっかり売れっ子となっているジャズミュージシャン大友良英と対談。

すばる2016年8月号

  • 高橋源一郎の新連載「ぼくたいはこの国をこんなふうに愛することに決めた」が今月から開始。
  • 先月文學界に新作を発表した椎名誠が今月はすばるで新作を。創作意欲が高まっているのか。
  • 特集は「LGBT―海の向こうから」。今この話題を扱うというあたりからは、純文学文芸誌の微妙な立ち位置が透けて見えるような気もする。
  • 対談は西村賢太+湊かなえ「「いまの挫折」は「一生の挫折」ではない!」。

文藝2016年夏季号

  • 鹿島田真希の長篇「少年聖女」(350枚)が一挙掲載。
  • 松波太郎は文芸誌内文芸誌という「月刊「小説」」(220枚)を発表。
  • ほか、加藤千恵、岸川信、滝口悠生、笙野頼子、倉数茂が創作を掲載。
  • 江國香織×川上弘美×中島京子×堀江敏幸×森見登美彦による座談「王朝文学は連環する」も興味深い。
  • エッセイは大森美香と黒名ひろみが名を連ねている。
  • 連載は多いため省略。

以上、2016年7月発売の5誌について概観をお伝えした。