明治・大正時代の大文豪、森鴎外(1862~1922)。ドイツと日本の間で揺れる人間関係を描いた近代小説「舞姫」から、近世の封建社会や人情に題材を取った「高瀬舟」「山椒大夫」まで様々な作品を書いた鴎外だが、彼が軍医として勤めていた事もまた有名である。軍医としての経歴の中で、鴎外は1899年(明治32年)から1902年(明治35年)まで、陸軍第十二師団の軍医部長として北九州市に赴任していた。そんな北九州市でこの秋、鴎外ゆかりの和菓子「森鴎外モナカ」が発売される。

「森鴎外モナカ」を開発したのは北九州市の飲食店関係者団体「森鴎外を盛り上げる会」。森鴎外の作品には在住していた北九州市を舞台にした「小倉三部作」と呼ばれる一連の作品もあるが、一般にはあまり北九州市と森鴎外の関係は知られていない。森鴎外と北九州市の繋がりを知ってもらい地域活性にも繋げようと言うのが今回の経緯であった。それともう一つ。鴎外は甘党であった。

鴎外の好物は、割ったまんじゅうをご飯にのせて煎茶をかけて食べる「まんじゅう茶漬け」であったと言われる。現代でも中々想像しづらい食事のセンスだが、こんな意外なところにも活性化のタネがある。あんこを使った銘菓を作る方針が定まり、試行錯誤の末「森鴎外モナカ」は完成したのである。モナカの意匠も森鴎外の作品から引用されている。

森鴎外ファン必食の「森鴎外モナカ」は今年の秋から一般発売される予定。