やまなし読書活動促進事業実行委員会は、2016年6月1日(水)から8月31日(水)まで『やま読ラリー』を開催している。これは山梨県立図書館と県内の書店によるコラボレーション企画で、スタンプを貯めることで山梨ゆかりの作家たちによるオリジナルしおりがプレゼントされるというものだ。

スタンプを押してもらうためには、図書館の利用や書籍の購入が必要となる。対象書店は県内各所の18書店28店舗で、このうち3店舗での購入が条件だ。図書館のものと合わせて計4つのスタンプが貯まると、対象書店でプレミアムしおりと引き替えることができる。

ラインナップされているのは山梨出身の作家である林真理子と神永学、そして2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智の3名。また、県立図書館の館長でもある阿刀田高のしおりは、スタンプが4つ集まらなくても参加するだけで入手可能だ。しおりには「本への想い」と「サイン」が記されており、いずれもこのスタンプラリーでしか手に入れることのできない特別なものなので、ファンはこの機会を逃さないようにしよう。

活字離れが叫ばれる中、商売敵にもなりかねない図書館やライバル書店とあえてタッグを組むという試みは、なかなかに挑戦的といえる。だが、先を見据えて潜在的読者を掘り起こすことは、出版不況の今だからこそ重要な視点だ。 たとえばラジオ業界で顕著だが、斜陽になった業界ではライバルを攻撃するのではなく、いかに同業他社と共存し裾野を広げていくかという視点が重要になる。山梨の書店事情が今後より充実していくためにも、今回の企画が成功することを祈りたい。