いびつ

藍生

598文字

はじめまして。これはいびつな詩です。どうぞよろしく。

いびつ

 

 

純白のシーツと彼の隙間にはさまって寝る。彼の腕は、私の頭に押されて、もう、壊死してしまった。私は無心で腕にぐりぐりと頭を押し付ける。腕の砕ける音がする。

 

切り込みを入れて、開きかけたオムライスの口を閉める。

呼吸のできなくなったオムライスは、彼の冷蔵庫のなかで、一口ひとくち、死んでゆく。

彼の、大好物。

 

ベッドには、彼のもるんとした尻がのっている。まるでプリンのようだ。くるりと撫でるとぷるんと波立つさまも。カラメルソースのかかったあの二色の色合いも。

 

まるい。茶碗で成形したチキンライス。しかし、真ん中は真空が詰まっている。表面だけ、米で覆われているのだ。

しかし、要は、私が作ったということ、その一点のみが重要なのだ。

 

物言わぬ彼を、慈しむような、ちょっと困ったような、顔で見つめる。

安らかに眠っている。安らかに。「どうぞ安らかに。」

 

すると突然、彼の口がぱっくりと開いた。「ええ。」

そんなはずは。そんなはずは、

私は思わず逃げ出した。

 

 

とろける日差しに、身を起こした彼の影。さんざん殴られた尻や背中と、しびれた腕を一瞥してため息を吐く。

不安定な彼と一緒に生きるというのは大変なことなのだ。特に彼はたちが悪い。

でも、彼は、先天的ストックホルム症候群なのだ、きっと。

今までも、いつもそうだったのだ。

2020年10月29日公開

© 2020 藍生

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