咲にまつわる

多宇加世詩集(第9話)

多宇加世

485文字

少しうらやましかった。喋ることも歌うこともどんなことか知らないだけであとはみんなと同じだったから。

我慢のできない子のように

メニュウを連ねて可愛い忘れ得ぬ記憶

乗馬 ろば どば!

ここは咲がいちど転んで泣いた場所

涙がこぼれます

星から教えてもらったこと

新しい朝は繋がれた頚木に休む大鳥のようなものだってこと

新しい朝は前の日の暖かなお昼のまま

やってくることはないということ

たくさんの肩掛け鞄のきらきら光っていたお星様の声は

小鳥にも、海にも、先祖の鐘にも似ていない

煮繭をするひとみたく、四方背中で口が無い

少しうらやましかった

喋ることも 歌うこともどんなことか知らないだけで

あとはみんなと同じだったから

いつまで 泣き止むのは我慢しなくていいときだけ

ここでは全部 自分の話

忘れないで

 

花で 木で 木の影で隠れる息づかいで

甘き 荒き ささやき 咲は歌ってた

 

飾り羽子板から お題 出された 手で迷わないで お願い

こんにちわ ハロー 元気? 手を握って 迷わないで

葉を齧り 削り じねんにそのままを

涸井戸のような騒がしさで苦悩すること

 

ベランダで小声で諳んじるように ぽろんぽろん

沢山の隙間が光ってるのを見たこと

汚い話をひとつだけ入れて 一緒に遊んだこと

笑うといい声がしたこと

二つの夢が一夜の夢のように

2019年9月2日公開

作品集『多宇加世詩集』第9話 (全18話)

© 2019 多宇加世

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