フェンス

畦道こみち

1,053文字

畦道こみちの、破滅派初めての投稿。詩と小説のはざま。良い詩、悪い詩、詩ならざる。はてさてこれは、いかにやいかに。

 

 

燦然と三千、さびたフェンスの向こう、数あるなかのひとつがきゅんと真ん中で折れ曲がったかと思うとそれは砂になる水になる、夜の闇に音もなく落ちて行って溶ける、はっと息を呑んで私は街のその後を見るけれど、光が、視情報が瞳孔をぎゅんぎゅんといくらでもすり抜けて行くけど夜は変わらない、燦然は三千であるかのように、三千であるものとして、というよりもう三千であって、闇と冷たくなるような危険な隣り合わせで、あるものは爛々、あるものは皓々、またあるものは、なんて、数え上げてるうち私の知らないところでまたひとつが闇に溶けて消えてるかもしれない、だれかそれを見てるかもしれないけど多分見ていない、それは消えてからはじめてじぶんが1でなかったことを知る、爛々も皓々もびかびかもちりちりも1でないことを知る、それは叫びそうになる、声を上げて、音量の限りを尽くして伝えてやりたくなる、けれどそれはもう消えている、街には燦然と闇しかない、消えたものはいないいないものが消えたのだからそれは疑う余地なくいない、街に私がいる、私は光を目撃する、光がそのとき確かに1であったことを、真んなかで折れるということは紛いなく1であるよ、それは1で、あ、光、そ、あ、それは1であった、1であったのが折れて流れて溶けて消えた、ないがないになる道程、でもそれは1であったよ、なあそれ、それが1であったことを私はしっている、私はしっていて、私はいる、いる私の中で、私において、あんたは1であるよねえそれわたしはあんたをわすれない1であったあんたをあんたが1であることあったことあることわたしはわすれない、わたしはいるわたし、わたしは折れたらどうなるのかしらわたしはすっと折れる自信ないわわたしはぽっきり、あるいはばっくり、とにもかくにも音を立てるわ、流れるのは血ーばっかりでわたしは砂にも水にもなれん、溶けてもゆかれん、残ってゆくのよ、ゆっくりゆっくり崩れて朽ちて、それは溶けるとはなんか違う、虫がたかる、埃が積もる、雨が打つ、なんもはっとせん、はっとせんとわたしはそれでも砕けて砕けて分解されて分子に原子に素粒子に、溶けても粒子になるだけなのです、なくならないそれは数えられないだけ、不可算を、不可算に加工して、不可算に、あほらしいあほらしいあほらしくって涙が出るわそれでもあんたが1であることわたしはわたしはしっている

 

 

『屋上に遺書らしきものは何もなく
自殺の動機は不明ということです。』

2018年6月18日公開

© 2018 畦道こみち

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