おつかい

山谷感人

359文字

妻よ、誕生日おめでとう(ちょい早いが)。

妻より小銭を渡されて、ケンタッキーへと行かされた。久々の使い。食べたくないよと悶着後。
二十九日、ニクの日らしい。長蛇の列。かのチェホフの、苦悩や諦め、かくたるや。九州の片隅、列前には老婆。何故に僕は、ここに並んでる? 背中が曲がった、老婆の後ろ。
関東では、生活力に長けた、A君やT君が、この夕刻、同じようにケンタッキー、並んでいるかも識れぬ。君らは強く生きなさい、僕はもう、おつかいするだけでタイアード、老婆よ、早く去れ。
さんざ待たされた挙げ句のニクの日パック。これをルンペンにでも渡し、高跳びしたい気分。
帰宅後、駄賃で買ったビアを呑み、君は好きなだけニク食えやと、妻に吠えた。彼女はただ一言「私の誕生日、七夕には早いけどね」と呟いた。
ケンタッキーを俄然、猛然と喰らい、僕の寿命は一年、延びた。

2017年6月30日公開

© 2017 山谷感人

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