【世界観】
発達した科学技術などにより、人類があらゆる困難を克服した近未来。
あらゆる病は根絶した。自然はすべて人工的に管理され、自然災害を起こすこともない。徹底した治安維持のため、犯罪はすべて未然に防がれる。
何もかも想定内の予定調和な日々を過ごす人々。予想外なことなんて何ひとつ起こらず、非日常は夢のまた夢。
決められたことを淡々と繰り返すだけの毎日に皆、飽き飽きしていて常に刺激を求めていた。
中でもその傾向が強い者たちが、退屈を紛らわせる娯楽として、人類がいまだ解明できていない未知への恐怖、すなわち怪談に没頭することもまた想定内の帰結と言えよう。
そうして、結成された「会談を語る会」に今日もまた、刺激を求めて人々が集まる。
「会談を語る会」には「会談を科学などの現実的な観点から論破しない」などといった決まりがいくつかあるが、その中でも異彩を放つものがある。
それは、「会談を語るとき、その怪談を自分が経験したものとして話すこと」というものである……。
ところで、言霊(ことだま)というものを知っているだろうか? そう、古代日本では、言葉には霊力が宿っており、発せられた言葉を実現させる力があると信じられていた。
よって、発した言葉や語った怪談には責任を持たなければならない。その身をもって責任を果たすべきだ。
結果として、「会談を語る会」に出席したものは徐々に己が語った怪談に呑み込まれていく。
だが、それも彼らにとっては本望だろう。なにせ、待ちに待った娯楽ではない本物の非日常なのだから。
ようこそ「会談を語る会」へ。ここは、新たな怪談——“鬼”——が生まれ落ちる場所。
"いや、おかんがいうには、私は教会で洗礼もうけたプロテスタ――"へのコメント 0件