禊 3/7

千本松由季

小説

1,390文字

少しエロティックな内容。夏の夜に、七回に分けてお届けいたします。去年の丁度今頃書いて、なんかの公募に出して、未発表で埋もれていたものです。一年前より進歩が見えて嬉しい。ほとんど手直しはしていません。あの頃のままです。

あらすじ

売れない女優の咲岐(さき)は、好きだったロックバンドのボーカルと別れよううとするが、離れられない。彼女の狂った頭に「禊(みそぎ)」というアイディアが浮かぶ。彼の周りにいる男、全員と寝れば、それが禊となって彼を忘れられると信じるようになる。
 咲岐には崇拝するクラシックの作曲家がいる。彼女はロシア人だった作曲家の命日に、凍ったウォッカを捧げる。

 

 

 

 

      三 赤い着物

 相変わらず同じことを考えてしまう。「女に優しくない奴はクズだ」。でも、症状は少し良くなって、ドクターが抗精神病薬を減らした。それから変なことが起きている。今度は一日中セックスのことを考えている。もう四日になる。過去の男達に助けを求める。都合が悪い? 女ができた? どいつもこいつも、役に立たないクズばっかりだ。清一郎には電話しなかった。なぜだろう? 好きだから? 好きな奴とはこういう時セックスしたくない。でも本当はよく分からない。

 気を取り直して、ネットでAVを見始めた。どれもこれも女の胸ばかりアップにして気持ちが悪い。私の見たいのは結合部だ。気が付いたら、もう三時間も身動きせずに見続けている。やっぱり病気なんだな、と自覚する。行ったばかりの病院にまた行くのは面倒くさい。ベッドに横になる。頭が冴え渡って休めない。結局AVに戻る。

 いい男を一人見付けた。肉体労働者風によく日焼けをして、厚い胸と、いい腰をして、中への沈み方も凄い。そいつの終わるところを三回、巻き戻して見て、またベッドに横になった。このまま静かにしていれば治るのかな? 四日も軟禁状態で、そろそろ食べる物も尽きる。そしたら明日、仕事が入っていることを思い出した。

 自主映画に毛の生えたくらいの映画で、私はヌードができるから呼ばれた。セリフはない。金は出る。現場に行くと、長めのおかっぱと、赤い椿だか牡丹だかの着物を着せられる。一九五0年代の売春宿が舞台だそうだ。監督と助監督。どっちとも寝たな。遠くにいるスタッフにも覚えてる奴が何人かいる。台本を借りて読む。悪くない。セックスのことはまだ考えている。

 どうしてもセリフの言えない男がいて、撮影が中断される。ポン引きの役。セリフはたったひと言。「おめー等には金がかかってるんだからな!」それだけ。どうしてそのくらいちゃんと言えないの? 顔は可愛い。私の好みじゃない。監督が助監督にコソコソ言ってるのが聞こえる。

「どこであんな童貞拾って来た?」

「顔がいいのも少し入れた方がいいと思って。」

 監督が叫ぶ。

「誰かこの童貞、なんとかしてやって!」

女達が顔をそむける。監督が私を指差す。

「なんで私?」

「人助け。」

 監督がコンドームの箱を投げてくる。なんで箱ごと? って思ったら、中には三つくらいしか入ってない。なんだ。私はもっと熟れた男が好みだ。本当はメス犬の発情期並みの性欲があるのに、私はそれを隠して、嫌々男を部屋の中へ入れてやる。

 最初のキスでそいつが童貞じゃないのが分かる。セリフが言えないのはコイツに演技のセンスがないからだ。どうでもいいやと思って、最後まで付き合う。意外と長くかかる。やるともっとしたくなる。これって一体いつまで続くの?

 

禊 1/7

千本松由季 千本松由季

少しエロティックな内容。夏の夜に、七回に分けてお届けいたします。去年の丁度今頃書いて、なんかの公募に出して、未発表で埋もれていたものです。一年前より進歩が見えて嬉しい。ほとんど手直しはしていません。あの頃のままです。

禊 2/7 

千本松由季 千本松由季

少しエロティックな内容。夏の夜に、七回に分けてお届けいたします。去年の丁度今頃書いて、なんかの公募に出して、未発表で埋もれていたものです。一年前より進歩が見えて嬉しい。ほとんど手直しはしていません。あの頃のままです。

2021年6月11日公開

© 2021 千本松由季

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