花村渺

小説

370文字

靴を脱ぐ習慣ととむらいとつばさのはなし。

飛び降り自殺者の脱ぎ散らかした靴をそろえるしごとをしている。依頼主はたいてい生前のかれらで、かれらは靴をじぶんでないだれかにそろえてもらうことが最上のとむらいだとかんがえている。

首吊り自殺者の靴をそろえるしごとをしている知り合いによると最近は靴を脱がせるところからしてほしいという依頼もあるらしい。それはもはや本来の意味がうしなわれているが、儀式というのはそのようにして、そのときどきのひとの価値観によって変遷してゆくのだろう。

かれらは靴を脱ぐことで地上の束縛から解放され、天国へゆくためのつばさを得ることができると信じている。しかし飛び降りにしろ首吊りにしろからだは重力からのがれられはしないし、なにより、たとえ死のまぎわに肩甲骨からつばさのかたちをしたものが生えたとしても、それまで飛んだことのないものがうまく操れるはずがないのだった。

2021年1月29日公開

© 2021 花村渺

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