第九章 第二節 発覚

暗黒竜の渇望(第34話)

西向小次郎・らんた

小説

961文字

アジ・ラーフラたちはカザン近郊で農家にいたずらをした。
近所の森に穴を堀り、そこををねぐらとした。そこから農作物を盗み、代わりに盗
んだ貴金属を農家に置いたり、お詫びとして農作業を夜に手伝ったりした。
農家たちはやがて妖精のしわざととらえるようになった。

農家もテーブルの上にそっとパンなどを置いたりした。
やがて農民らはホブゴブリンと呼ぶことにした。幸福を呼ぶ鬼の意味であった。
やがて冬がやってきた。それは凍土であった。しかし冬が来てもかれらは凍死する
ことはなかった。彼らが恵んでくれる食糧と牧場で殺した羊の皮と羽毛で凌いだのだ
。アジ・ラーフラは下半身を特に気にしてが暖かい毛布が凍死を凌いだのだ。猫人ル
ネも同じで凍土では死んでしまう。防寒対策は重要だった。ルネが簡単な火の玉の呪
文が使えたことも重要だった。暖を取ることが出来たのだ。たしかに凍土なら黄金の
大蛇は攻めてくることが出来ない……。
だが、ある日の夜、農家の備蓄肉を盗もうとした時とうとう農民に見つかってしま
った。ケイナとレノンが魚の網をかぶせられ身動きできなくなる。とうとう捕まった
。農民はその姿を見て唖然とした。
―魔だ!妖精なんかじゃない。こいつらは半魔だ!
彼らはケイナとレノンを縛り上げ農家の広場に集まった。完全防寒した農民に囲ま
れた。
―南方で魔の侵略があったと聞いたが、こいつらはそのスパイに違いない。
―そうだ。今のうちに死刑にすべきだ
―待て!こいつら2匹のはずがない。もっといるはずだ。盗まれた食料の数が半端じ
ゃない。もっと倍以上いるはずだ。
―ならば半死の状態にして、その後に仲間に案内するのはどうだ?
―それはいい案だ。
「この会話の内容のどっちが魔だ。俺たちの住む魔都はもう滅びた。人間よ!俺たち
に居場所をくれ!」
―信用できるものか。まずは頭が牛の子からだ。見るからに悪魔そうじゃないか。
レノンに次々と剣の傷や鞭の傷が生まれる。悲鳴が深き森に響いた。
「今日はみんな遅いね」
織物をしているアジ・ラーフラが言う。
「何も無いといいのだけど」
ルネが食事の支度をしながら言った。
「今日も野菜鍋か。まあ、暖かくていいけどね」

「いつも途中でケイナの駄洒落で寒くなるけどね」
「防寒対策はしているんだけどね……」
笑いあう2人。
暖かい会話がそこにはあった。だが、今日彼らは戻らない。

2020年12月7日公開

作品集『暗黒竜の渇望』第34話 (全39話)

© 2020 西向小次郎・らんた

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

ファンタジー

"第九章 第二節 発覚"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る