目がさめたのは一週間後だった。遊牧民のテントの中だった。
奇跡的に生き残った小隊の隊長がテントを作ったのだった。
「王よ、ご無事で。」
「俺を王だなんて呼ぶな」
「いいえ、王です。今は焦土と化した大地ですが、我々は遊牧民です。新たな肥沃
な大地があればそこに移住すればいいのです」
俺は王になる資格なんてない。人間じゃないんだ……。
お願いします、王になってください。
いや、できぬ……いつまた俺に刃が来るか……満身創痍の姿で答えた。
―いや、待て、こうしよう
「赤の竜の旗を作ってくれ。そして私に従うことが出来るものだけ、西の肥沃な大地
に移住しようではないか。1週間後、ここに決意を表明するものだけ来て欲しい」
「王……」
一週間後なんと大軍隊を失った直後にも関わらず騎馬隊が500人も集まった。
行くぞ、肥沃の大地、永遠の浄土を求めて!
こいのぼりのような吹き通しの竜の旗がなびいた。
騎馬隊は西に行けば行くほど大きくなったという。
彼らの目指すべきは最果ての浄土の島。浄土にたどり着き、平和な大地で安息の日
々を送るためである。もう、殺戮も争いも飢えに苦しむ世界も、魔もない世界へ――
希望の赤竜の旗がなびき、草原を駆け巡る。
……だが、彼らに待ち受けていたのはさらなる闇の逆襲であったことをこの時はま
だ誰も知らない。
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