第六章 第二節 ミスラの剣

暗黒竜の渇望(第23話)

西向小次郎・らんた

小説

872文字

宴会の席を逃げ惑うアルトゥス。厨房を潜り抜け、多数ある部屋を出るとそこは昼
に訪れたカーグ14世の墓だった。だが、兵たちが追いつく。
「これは好都合。さあ、貴様の持っているその石の杖をここで剣にするのだ」
周り中剣や槍に囲まれたアルトゥス。仕方なく従った。その中には見覚えのある顔
があった。なんと武装した兵の中にミスラ神殿の神官ではないか!
「わが国がほしいのはその光の剣。これで暗黒の者を倒し、王権を強めるのよ」
「だましたな!神官長から全部最初から!」吐き捨てるように言うアルトゥス。
「ばかな。神官長は本気だったのよ。その剣の復活のためだけに。だが敵国の人間に
渡す馬鹿がどこにいると言って全員切りつけたわ」
怒りがふつふつとこみあげるアルトゥス。剣を差し向けられながらカーグ14世の石
の墓に刺さっている剣を引き上げようとした。

―光を求めるものよ、その怒りを正しきことに使うのだ。今剣の力を杖にさずけよう
。そして本当の姿もお前に見せてやろう……。
声が聞こえたかと思うと、剣が突然輝きだし、剣を引き抜いた。それだけではなか
った。持っている杖と共鳴し、杖の石が剥がれ落ち、つばが小さい光の剣となって変
化した。
さらに光が爆発し、剣が己の体に吸い込まれていく。それは光の爆発。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!」雄たけびが谺し、光の爆発がさらに膨れ上
がる。
「ぐはあああああ。まぶしい!」周りを囲む兵士全員目がくらんだ……・
気がつくとそこには頭部は狼、胴体と尾は赤みがかった黄金の大蛇がそこにいた。
―これが俺の本当の姿!?俺は人間ではない? なぜだ!
そこに血の記憶が呼びかける・・・・・・しかし、まだ意味不明な内容であった。燃える村
、黒き血を浴びる自分。
だが、記憶にひたっている場合ではなかった。兵士に囲まれていたのであった。た
じろぐ自分。あわてて叫んだ。
「立ち去るがよい!」
轟くように己の声が発した。逃げ去る兵士達。
やがて墓標の周りにいる兵士がいなくなった。
―元の姿に戻りたい……。
そう思ったとたん、また光の爆発が起こった。もとの姿に戻った。服装ももとのま
まだ。

2020年12月6日公開

作品集『暗黒竜の渇望』第23話 (全39話)

© 2020 西向小次郎・らんた

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

ファンタジー

"第六章 第二節 ミスラの剣"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る