第二章 第三節 光を求める者

暗黒竜の渇望(第8話)

西向小次郎・らんた

小説

893文字

闇と絶望と砂漠が支配する大地、ペルシャ。その小国に1人の王がいた。とはいえ
手には鍬を持ち、畑を耕していた。相次ぐ人間同士の戦乱、増え続ける魔族の襲撃で
王族や王といえども生き残るためには数少ない人間とともに食糧確保に努めなければ
ならなかった。昼にはいつ魔や他の民族の襲撃に備えるために剣を振るった。彼の名
はカーグ。王とはいえまだ13歳である。仕事が終ると光の神であるアフラマズダ神に
祈るのが日課であった。
「このへんはまだ大河ユーフラテスに近い。光の恵みもある。アフラ様のおかげだ」

実際、魔物の力も弱かった。しかし、魔はここまでせまって来ていたのだ。
アフラ神の祠は岩を削って松明に火をともし、光を賛美する。その他に水の神、契
約の神、薬の神などさまざまな天使や精霊を祭っていた。
彼は幼いころに両親を殺された。両親は決して褒めるべき存在ではなかった。重税
を課し、麻薬にふけり、俺にも暴力を振るい、城下町には風俗街を作り、アフラ神で
はなく、イシュタルという女神を祭り、売春税を取っていたのだった。産業もなにも
ない砂漠で病者や魔族からのがれる人々が集まる逃れの街と化してしまった以上、信
仰も半ば捨てて商業で生き延びなくてはならなかった。
ある日、暗黒の竜に突然襲われ、従者とともに地下通路を通って逃げ延びた。国は
滅びたのだ。闇に取り付かれたような街であったがために当然の結末とも言えようが
、それでも親を殺され国を滅ぼされた恨みは大きかった。まだ8歳の時の出来事であ
った。
以来、放浪の旅を数年し、大河に近い土地を見つけそこに小さな村を作った。そこ
を勝手に王国となのっていたが法も税もかつての王国のものを使っていた。信仰を大
切にし、王族と一般人の区別もすべて無くした。そうせざるを得なかったともいえる
が――。
王政といっても現実には共和制であり、かつ規模は村そのものでしかなかった。
合議されたものをただ承認するだけであった。しかし民はつつましくとも幸せであ
った。だが、王族に対する恨みから王族を尊敬するものなど誰も居なかった。村人全
員がよそよそしかった。
しかし、ここにも悲劇が起こった。
魔族の襲撃であった。

2020年12月6日公開

作品集『暗黒竜の渇望』第8話 (全39話)

© 2020 西向小次郎・らんた

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