第二章 第二節 閲覧式

暗黒竜の渇望(第7話)

西向小次郎・らんた

小説

662文字

「おお、暗黒竜王子が見えるぞ」
魔たちがざわめいた。
それはアジ・ダハーカと呼ばれた竜であった。俺と同じ暗黒竜で三口、三頭、六眼
をそなえ、尾は再び三つに岐がる。美しきも惨酷な多頭竜にして暗黒竜であった。
「なんでもアーリマン様の体からじきじき生まれたらしい」
「千の術を扱い傷口からは蛇、トカゲ、蠍などが出るらしい」
「アーリマン様の化身であるとか」
「なんでも人間どもの世を滅ぼす最終兵力であるらしい」
「静かに!お見えになった」ザリチュが言った。
闇がゼリー状にゆがみ、そこから現れたのは巨大な暗黒の大蛇であった。
「父上、ご機嫌うるわしゅう」アジ・ダハーカの三つ頭が下がった。
「皆のものよ。今日は1つの魔であったものが要職につく大魔の在任式である。努力
に努力を重ねた魔は名誉と栄光を手にすることが出来ることを証明した。この者に続
くことが出来るよう、努力にはげむがよい」
澄んだおどろどどろしい声が響いた。
「これで不在だった大魔の1人が就任する。タルウィをここへ!」
「主よ、ありがたき幸せ」タルウィは主の前でひざまつく。
暗黒の大蛇はそれを聞くと呪文を唱え、さらに闇のしずくを落とした。しずくが落
ちたタルウィの額には小さな紋章が浮かんだ。
暗黒竜王が宣言した。「新しい大魔に栄光あれ!」
―闇の間で歓声が響いた。
魔にはただの黒のゼリーにしか見えなかった。それでも圧倒的闇の前で暗黒竜王とい
う希望に歓喜したのであった。
タルウィは王がゼリー状の闇ではなく、やはり美しきも惨酷な巨大な暗黒の大蛇で
ある姿を見ることが出来るようになった。大魔となったのだ。

2020年12月6日公開

作品集『暗黒竜の渇望』第7話 (全39話)

© 2020 西向小次郎・らんた

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