「みるくくん」はさようなら。(3)

「みるくくん」はさようなら。(第3話)

鳥居あめ

小説

738文字

泣きながらたどり着いた先はお大きな神社。どこへいっても、元カノ(二股かけられていた)のことを思い出してしまう。つらい。

そうして知らない路地ばかりを選んで、暗い道を何度も曲がっているうちに、大きな神社の前に出た。

石造りの鳥居は立派で、中にはしめ縄の巻かれた太いご神木もある。

こんな所に神社があったなんて。4年もこの町に住んでいるけど、全く知らなかった。それはぼくがよそ者だからだろうか?

まぁいい。ぼくは今年の初詣(1月3日)の時に、柚佳が言ってた「神社では隅っこを歩くんだよ。真ん中は神様の道なんだから」に何となく逆らえず、石畳の隅を選んで鳥居の中に入る。

深夜の神社は何だか怖い。

暗闇の中では在るものが見えず、静けさは何かが起きる前のタメみたいに感じた。

凛とした空気が夜の中で鋭さを増し、こちらを狙っている気がする。

これが畏怖と云うことなのだろうか?

普段ならこんな場所には絶対に入らないのだけど、今日はもうどうでもいい気分だった。

もし神の怒りに触れて死ぬのなら、それも悪くない。

闇夜の中を歩いて行くと、右手に手水場が見えた。けどやっぱりなんだか不気味で怖くていつもなら何とも思わない、石彫の龍が水を吐いているヤツですら、近寄りがたい神々しさを感じてしまって、多分被害妄想みたいなものだけど、でもやっぱり怖い物は怖い。ぼくは手水場をスルーする。

「あ〜っ! 神さまに会う前にちゃんと手をきれいにしなきゃダメなんだからねっ。しつれーだよっ!」

柚佳がいたらこう言うかな。

そう思うが否やぼくの心はズキンと重たく脈打って、そのままストンと胃の中へ落ちた。衝撃でキリリとする。痛い。でもナイス瞬発力・オブ・マイハート♡

ぼくは自分の心の傷の具合を確かめたくて、時々わざと柚佳のことを思い出す。

まだ好きな訳じゃない。

柚佳とはあれ以上一緒にいるのは無理だった。

ぼくを苦しめているのは「上手く出来なかった」という思いだ。

2020年12月6日公開

作品集『「みるくくん」はさようなら。』第3話 (全4話)

© 2020 鳥居あめ

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