恥とは、社会動物である人間だけにある、攻撃を未然に防ぐための知恵である。

齋藤雅彦

小説

601文字

 わたしは基本的にハイブランドの口紅しか使わない。口紅以外にメイクらしいメイクはしないからである。安い口紅を塗るくらいなら何もしない。安い口紅は顔から浮いてしまってみっともない。高いものは誰が塗ってもしっくりくる。そういうものなのだからしょうがない。

 恥とは、社会集団からはみ出さないための本能的感情だそうだ。もちろん自分の所属している集団限定だろう。日本のビーチではフリルつきの可愛いビキニだが海外のビーチでは乳首ぎりぎり隠れるくらいのトップに半ケツなんてことになるのは自分の所属している集団外だからだ。

 常に前髪を上げている人は前髪を上げている姿が社会集団の中での自己イメージ像だから前髪を下ろした姿を人前にさらすのを恥ずかしがる。つまり他者に見せている自己イメージ像が崩れるのが恥となるわけだ。十代の早い段階で化粧をして人前に出ているような人はメイクしている姿が人前での自己イメージ像なので人前で素顔をさらすなんてのは死ぬほど恥ずかしいということになる。

 奇抜なファッションで人前に出るような人は、自分は社会からはみ出してもオッケーなのだ。捨て身で生きているのだ。つまり怖いものなしなのだということをアピールしているのだろう。

 何をもって恥とするのかは人それぞれ。基本的な部分は共通しているが、ほとんどは単なるこだわりでしかない。

 そろそろ妻が帰ってくる時間だ。わたしはワンピースを脱ぎ、ジャージに着替えた。

2020年11月12日公開

© 2020 齋藤雅彦

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