ミス・漢方

齋藤雅彦

小説

525文字

ミス・漢方#4

嘘は制御の産物である。本音は解放の産物である。(K)

 

 

 

 

 

 説教を終えて去ろうとする神父のもとに、俺たちは駆け寄った。

 駆け寄ったものの、俺は何と切り出したらいいのかわからなかった。

「結婚式をお願いします」と蛇女が言った。

「よいでしょう。お上がりなさい」

 かくして俺たちは夫婦になった。

 夫婦になったはいいが、どこで暮らすのだ、と、ふと考えたタイミングで、建物が揺れ始めた。

 大蛇が暴れているのだ。

 何かが俺の頭を直撃した。おそらくシャンデリアだろう。

 目を開けると、女、ミス・漢方が悪い冗談のような顔で俺を見下ろしていた。

「蛇女は?」

 未練があるわけではないが、一応きいてみた。

「蛇女は結婚願望の強い女の魂が蛇に乗り移ったもの。結婚願望が満たされ、魂は昇天しました。魂の抜けた蛇は黒焼きにしたのち、粉末にします」

 ひどく消耗していた。とりあえず体育座りになった。

「そなたを利用させてもらってすまないと思っています。でも蛇女の形態をとったことのある蛇は貴重なのです」

「その蛇から作った薬には、どんな効果がある?」

「脳の各部位の連携、結合を強化し、自己コントロール能力を高めます」

 俺は薬を少し分けてもらい、下山した。

2020年12月4日公開

© 2020 齋藤雅彦

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