わゐうゑ

齋藤雅彦

小説

314文字

わが東京に出て、軍人になった翌年、姉のゐは高利貸しの、うに嫁いだ。

 ゐが第一子、ゑを生んだと便りをよこした夏、わは少将になった。

 わは姪のゑの顔を見るため、盆に里帰りした。

 田舎の人たちは、久しぶりに会うわが何を言っているのか、まったくわからなかった。ただみんな口ぐちに、立派になった、立派になったと言った。

 わは、国をまとめるには共通の言葉が必要なのですと説明したが、もちろん通じなかった。

 やがて国は足なみをそろえ、戦争に勝利した。もう、わの言葉がわからないという者は全体の三割くらいだった。

 わの言葉がみんなに通じるようになったころ、わの国は敗戦国となった。

 ゑは学校で名前を書くときは、誰に教わったわけでもなく、えと書くようになった。

2020年11月12日公開

© 2020 齋藤雅彦

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

---

"わゐうゑ"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る