オムライス

齋藤雅彦

小説

403文字

わたしの妻の卒業した高校の卒業証書は、オムライスだったそうだ。オムライスに文言がケチャップで書かれていて、印鑑は焼き印だったという。持ち帰らずに、学校で食べてしまう者もいたらしい。わたしの妻もその一人だった。

 卒業証書であるオムライスを完食し、校門を出ると、卒業したんだなと実感できたそうだ。就職は決まっていなかったが、不安はなかったという。仕事なんて飯が食えればいいと思っていたし、オムライスは美味しかった。何の問題もない。オムライスができたてだったらもっとよかったのにとは思ったが。

 朝が弱い妻は、昼の仕事は無理だと考え、高校の先輩の働いていたキャバクラに一日体験入店した。そこでわたしと出会った。わたしはもちろん客だ。そして間もなく結婚した。

 妻の母校は、妻が卒業してから十年経ったくらいのころ、廃校になった。あのオムライスが食べたいという理由で受験する者も多かったそうだが、少子化には勝てなかったようだ。

2020年11月12日公開

© 2020 齋藤雅彦

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