えちえちおねえさん

齋藤雅彦

小説

736文字

むかし、ある王国に、とってもおしゃれな王様がいた。

 トレンドはすべてキャッチし、また自らもトレンドを生み出すファッションアイコンになっているにもかかわらず、まだまだもの足りないなあ、なんて思っていたところに、世界各国を放浪して服飾ビジネスの勉強をしてきたという仕立て屋が現れた。

 仕立て屋が王様にすすめたのは賢い者にしか見えない生地で作ったスーツ。王様はスーツが仕上がるとさっそくおひろめパレードを行った。

 城門から王が姿を現すと、国民はちょっとざわついたが、賢い者にしか見えない生地というおふれが出ていたのでみな神妙な顔で見送った。誰も王様は裸だ、などと声をあげたりはしなかった。パレードは無事終了した。

 まあしかし、仮に王様は裸だ、なんて言うやからがいたとしても、王様は動揺しなかっただろうと俺は思う。何代も続いている王族からしてみたら庶民など犬猫同然、裸を見られたところで恥ずかしくも何ともない。だったらファッションを自慢する意味もないのでは、とおっしゃるかたもおられるだろうが、そこはそれ。代々続いた王族なんてものは著しく精神のバランスを欠いた存在なのだ。一般人の常識を当てはめてはいけない。

 こんなことを考えていたら昼になったので、ラーメンでも食べに行こうと玄関ドアを開けたら、えちえちおねえさんが立っていた。

 俺はあわててドアを閉めた。すると、えちえちおねえさんはバグパイプを演奏し始めた。俺は再びドアを開け、「やめてください。困ります」と言った(語彙はそれなりにあるほうであるが、人間本当に困るとステレオタイプなセリフしか出てこないようだ)。

 えちえちおねえさんはリードをくわえたまま、「部屋に入れてくれるまでやめません」と言って、てりりー、と、ひときわでかい音を出した。

2020年11月11日公開

© 2020 齋藤雅彦

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