女性ホルモンが思春期に大量に作られることで男性脳も女性化する

齋藤雅彦

小説

842文字

日本に初めてチョコレートを伝えたのはポルトガルの宣教師ルイス・フロイスである。現在、日本で流通しているチョコレートとは違い、食料にとぼしい時期に庶民が食していたもので、あまり美味しいものではなかったようだ。信長に謁見する際、あげられるようなものがほかになかったので(ルイス・フロイスは質素倹約が信条のイエズス会)、ビロードの布に包み、なんとかプレゼントらしくして献上したとされる。信長がチョコレートを食べたかどうかはさだかではないが、このとき、バレンタインの風習も伝わり、豊臣秀吉がわざわざオランダから材料を取り寄せ作らせたものを淀殿に恋文といっしょに送ったのがバレンタインデーのはしりだと言われる。

 秀吉の恋愛が成就したのはチョコレートのおかげかもしれないと考えると感慨深いものがある。

 こんな話を作ってしまうくらい刺激のない一日だった。

 最近読んだ本に、女性の男性ホルモン分泌量は男性の十分の一。性欲はもっぱら男性ホルモンによるもの。よって性欲も男性の十分の一。とあった。なるほどそりゃあバレンタインに男子がそわそわするわけだ。女性の十倍だから。

 イベントだし、と、大して好きじゃないけど仲のいい男子にチョコをあげようと考えスーパーに行った。自分の好きな板チョコが、安かった。買った。

 帰路、ショートカットしようと公園に入ったら小三くらいの男の子がブランコに座って泣いてて、どうしたのってききたい衝動にかられたけど子どもとはいえ好奇心にまかせてたずねるのは失礼。トラウマになったら困る。さりげない感じで隣のブランコに座り。さっき買った板チョコの包みを開け、ぱきっとやって差し出した。男の子は、少しびっくりしたみたいだったけど受け取り、口に入れてずいぶん長い時間もぐもぐやってからのみ込んで、照れくさそうに笑った。つられてわたしも笑った。

 二人、しばらく無言でチョコを頬張ってブランコをきこきこやってたら男の子のお母さんらしきと妹らしきが来て男の子はいっしょに帰った。

 だから明日はチョコはなし。

2020年11月11日公開

© 2020 齋藤雅彦

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