もふもふ

齋藤雅彦

小説

457文字

帰宅すると、お父さんがもふもふになっていた。

「そういうことだから」

 お母さんが言った。

「そういうことって、どういうこと?」

「お母さん、パートからフルタイムに切り替えるから」

「よく理解できないんだけど」

「だから、お父さんこんなんじゃ働けないでしょうが。あなた悪いけど、夏休みの短期留学はあきらめてもらうわよ」

「嘘でしょ。ずっと計画してたのに。やだよそんなの!」

「わがまま言わないで。大人になってからでも遅くはないでしょう」

「大人になってからじゃ遅いの!」

「いい加減にして……とにかくもふもふになっちゃったんだからどうしようもないの」

「お父さんのばかぁ!!

「お父さんに何てこと言うの」

「もふもふじゃ何言ったってわかんないよっ」

 わたしは泣きながら自室に走り、ベッドに突っ伏した。

 いつの間にか眠ってしまったようだ。顔を上げると、もふもふになったお父さんが枕元にいた。

 呼吸に合わせてゆっくり上下するもふもふのおなかを見るうち、わたしの心に、責任感みたいなものが芽生えていた。

 とりあえずお風呂に入ろうと、バスルームに向かった。

2020年11月11日公開

© 2020 齋藤雅彦

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

---

"もふもふ"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る