象さん

齋藤雅彦

小説

663文字

「象さん、象さん、お鼻が長いのね」

 ハムスターさんが象さんに言いました。

 すると象さんはこうこたえました。

「母は短いんですけどね」 

 曖昧に笑ってハムスターさんは本題に移りました。

「ねえ、象さん、どうして差別はなくならないの?」

「動物の本能だから」

「本能なんだ。なんか、やだな」

「恋愛体質のハムスターさんならわかると思うけど、恋愛も差別の産物ですよ」

「え? どうして?」

「だって、素敵だな、と思うからときめくわけでしょ」

「それはもちろん」

「誰に対してもときめくわけじゃないよね」

「当たり前でしょ。誰もがみんな素敵なわけじゃないもの」

「それがまさに差別」

「あ、そうかぁ」

「差別せず、みんな受け入れてたら身が持たない」

「わたしのお母さんがそうだったけど」

「自分の子どもはモテるほうがいいよね。とくに男の子だったら」

「うん」

「モテる男の子を作るためには?」

……うーん、教育?」

「またまたぁ。ほんとはわかってるんでしょ」

「モテる男の遺伝子をもらう」

「そう。でもね、モテる男って浮気するじゃない?」

「するー」

「子育てに積極的でもないよね」

「多分」

「捨てられるのを承知でモテそうな遺伝子をもらうのを短期配偶戦略、モテそうな遺伝子はもらえなくても家庭を大事にする男と一緒になろうとするのを長期配偶戦略と呼ぶの」

「へー」

「いちばんいいやりかたってどんなのだと思う?」

「モテる男とつき合うのと同時に家庭を大事にしそうな男とつき合って、モテる男の子ども作って、家庭を大事にしそうな男に養ってもらう!」

 象さんは優しいまなざしをハムスターさんにそそぎました。

2020年11月19日公開

© 2020 齋藤雅彦

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