第52章

根津權現裏(第53話)

焚書刊行会

小説

622文字

芝公園にて凍死体で発見されるという最期をむかえた「破滅型の私小説作家」藤澤淸造の代表的長編の電子化テキスト

 おかせいしんじようのあったものらしいとうことは、わたしさきにも一おかあにからかされた。それは、おかさいみやたずねたときがそれらしかったとうことだった。で、ときわたしも、なくそれをぜんこうていしたものだ。そして、わたしげんいんひとつに、わたしいままでもくりかえしていてきたとおり、みやとくてんからはっしているのだとのみしんじていた。──いまこれをたんなるいんかんけいからうも、それはみやあくとくさからはじまっているのだ。あいいでみやかいと、さとがおかって、ついにかれせいしんにまでじようきたさしめってしまったのだとのみおもっていた。だからわたしは、いまいままで、みやのことをかんなきまでになんこうげきしてかなかったのだ。
 ところでおかあには、なんこうげきちゆうは、ひとこともそれにはいおよばずして、わたしちようそれをしおおせて(※やりげて)しまうとどうに、さもさも(※も。いかにも)ときのようやくおもいついたもののようにこううのだから、わたしかれて、わばぎもかれてしまったのだ。しようじきなところわたしはそれをみみにしながらも、はなうちは、さらこころうごくのをおぼえなかった。だが、それをきおわると、わたしこころうちとつぜんいっしゅねんしようじてきた。──はなみみとおしてはいってきたおかあにことが、もうしばらくすると、わたしあたまなかあつまってきた。かとおもうととつぜんばくはつしてきて、るみるうちに、わたしあたまいてしまったのだ。そして、あとはいなかからてきたものとうのが、すなわいっしゅねんなのだ。

2020年11月5日公開 (初出 日本図書出版 大正11年発行 単行本

作品集『根津權現裏』第53話 (全60話)

© 2020 焚書刊行会

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